当社が施業する国有林において『新しい架線集材システム現地見学会』を開催

2024年9月25日(水)および26日(木)、フォレストエナジー株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:沼 真吾)は、当社が立木公売にて落札し、伐出施業を実施中の天竜森林管理署管内・初沢国有林において実施された『新しい架線集材システム現地見学会』(主催:天竜森林管理署、静岡県西部農林事務所天竜農林局 協力:林業・木材製造業労働災害防止協会静岡県支部、イワフジ工業株式会社、日立建機日本株式会社、フォレストエナジー株式会社)に参加し、『全木架線集材による未利用木材の活用について』発表致しました。本イベントには、県内外の林業関係者や行政機関から200名を超える参加申込があり、非常に高い注目度が伺えました。

現在の林業現場では、車両系集材システムが主流であり、これまで作業道の整備や高性能林業機械の導入を通じて生産性の向上が図られてきました。しかし、近年は木材生産時の林地保全が求められるようになり、令和3年に策定された森林・林業基本計画では、急傾斜地では原則として架線集材によると規定されています。これにより、効率的な架線作業システムの導入や技術の継承が全国的な課題となっています。

一方、バイオマス発電事業者の立場からは、近年の燃料用未利用木材※1の調達環境が厳しくなる中、未だ60%以上が活用されていないとされる林地残材※2の効率的な搬出と燃料利用の拡大に期待が寄せられています。こうした背景のもと、当社は落札した皆伐箇所において、未利用木材の搬出効率を高める全木架線集材方式を採用し、安全で効率的な施業を目指して、油圧集材機と架線式グラップルを一つのリモコンで操作できる「油圧集材機・架線式グラップル」による集材実証試験を実施しています。

見学会当日は、油圧集材機と架線式グラップルの説明および実演、安全講和が行われました。当社からは、昨年採択され実施した『R5静岡県林地残材活用トライアル事業』の結果に基づき、林地残材の販売収益、地拵えコスト削減を考慮した集材方法別の事業性シミュレーションの結果や改善点についてもご説明しました。

当社は、このような新しい架線集材システムの開発・普及を通じて、林地残材の活用拡大や皆伐再造林の促進、地域の林業活性化に寄与するとともに、最終的にはバイオマス発電用燃料の安定調達体制の構築を目指します。

 

※1 燃料用未利用木材:造材後、丸太として林地から搬出される木材のうち、建築用材としては低質であるため、通常は燃料用として取引される木材。

※2 林地残材:伐採・造材時に発生し、林地に散在する枝条やタンコロ部。収集・運搬効率が低いため、車両系集材では多くの場合、搬出されずに残地されています。一方、架線系全木集材では、集材機周辺に自然に集積されるため、車両系集材に比べて効率的に林地残材を搬出することが可能です。