和歌山県古座川町における農地へのバイオ炭施用によるJクレジットの発行について

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2022年6月30日
フォレストエナジー株式会社

和歌山県古座川町における農地へのバイオ炭施用によるJクレジットの発行について

フォレストエナジーは、和歌山県新宮市において稼働中のバイオマス発電所(以下、新宮発電所)において、発電事業の副産物として生産されるバイオ炭*¹の農地施用を行い、土壌への炭素貯留を通したCO2排出量の削減について Jクレジット*²の認証を受けました。

弊社のバイオ炭は、古座川町を含む紀南地域の未利用木材を原料とし、ガス化発電の副産物として生産されます。粉末状の木炭であり、土壌改良や吸着剤、カーボンニュートラルな燃料としての活用可能な資材でもあります。土壌改良剤として農地に施用した場合には、難分解性の炭素を長期間土壌に固定することによるCO2排出削減効果が認められております。

フォレストエナジーは和歌山県古座川町で農業を営む株式会社あがらと(以下、「あがらと」)に新宮発電所で生産されたバイオ炭を提供し、同社の農地にバイオ炭を施用することで、土壌への炭素貯留の取り組みを行いました。「あがらと」では、農薬・化学肥料・動物性肥料を使わない植物性自然栽培という農法で、食用バラを生産しており、弊社の地域未利用木材から作られるバイオ炭を自然栽培に適した土壌改良資材として、ご活用いただいております。

また、上記取り組みによるCO2排出量削減効果が、今般2022年1月17日に一般社団法人クルベジ協会の協力の下、2021年9月にJ-クレジット制度において、新たに策定された「バイオ炭の農地施用」に関する方法論に基づく国内初のJクレジットに認定を受けました。フォレストエナジーが推進する木質バイオマスガス化発電事業においては、今後も安定的なバイオ炭の生産が見込まれます。今後もバイオ炭による農地への炭素貯留の取り組みを通して、Co2排出量の削減及び地域循環型社会の実現に貢献して参ります。

当該プロジェクト関係者の南紀森林組合、一般社団法人 日本クルベジ協会、株式会社あがらとから以下のコメントを頂いております。

■ 南紀森林組合

私たち南紀森林組合は、本州最南端の町である串本町と、温暖かつ湿潤な気候の紀伊半島南部の山間にある古座川町の山林の施業管理を行っています。組合事務所が所在する古座川町は、古くから良質な材木である古座川材の産地で、平成の名水百選にも選ばれた清流、古座川の流域では、ウバメガシを使った上質な紀州備長炭づくりが江戸時代末期頃は盛んに行われていました。この度、炭づくりの原理も一部活かされた発電方式の新宮木質バイオマス発電所を通じ、私たちが供給する古座川産を含む紀南地方の木材が、バイオ炭と言う炭に形を変え、同じ古座川町内の農業に役立ち、また、CO2削減にも貢献できると聞き、大変嬉しく思います。今後とも新たな木材用途を開拓して頂き、私たちが施業した木材の有効利用の可能性を広げて頂くことを期待します。

■ 一般社団法人 日本クルベジ協会

2022年1月13日、当会は「バイオ炭の農地施用によるCO2削減事業」というJ-クレジットプロジェクトの運営管理者に認められ、国内18道府県でバイオ炭貯留活動を行う方々から、CO2換算で合計247トンの実績を寄せて頂きました。新宮バイオマス発電所様は、プロジェクト実施期間中から、実施後の今日に至るまで、品質の安定したバイオ炭を安定的に提供頂けるサプライヤーとして、私どもJ-クレジット運営に携わる者をはじめ、多くのバイオ炭利用者から信頼される存在になっています。今後も共に、バイオ炭CCSを世に広めて参りましょう。

■ 株式会社あがらと

古座川町三尾川で農園を構える「あがらと」では、農薬を使わずに栽培することが難しいとされる薔薇を、植物性自然栽培という、農薬・化学肥料、動物性肥料、除草剤を使わない独自の農法で栽培しています。竹でハウスを建て、発酵肥料を冬の間に仕込み、メッシュシートには建築シートを再活用したり、製材所さんから出る木の皮をマルチにさせていただいたり、廃棄物の利活用も行い、環境に負荷をかけず100年後も200年後も見据えた活動をさせていただいています。
この度、フォレストエナジー様とご縁を頂戴し、バイオ炭を使用した土造りを行う取り組みをスタートしました。バイオ炭は、粉砕され細粒化されているため施肥しやすく、自然栽培にはかかせない成分を含む他、微生物の棲家となってくれます。紀南地方の木材を、バイオマス発電を通じて農業の土に還り、新な作物を育む循環の一役を担えること大変嬉しく、地域の方々や自然と共に未来に向けた取り組みを行えることを光栄に思います。


*1 バイオ炭とは、燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物(2019年改良IPCCガイドライン)。
*2 温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度。認証されたクレジットは売買可能で、環境への貢献PR、企業や製品の差別化、ブランディング等に利用可能。